明石書店からの出版、いよいよという感じ。楽しみです。
境遇の異なるトランスジェンダー2人で、それぞれ22通(+α)のお手紙を交わし、合計20万字に達しました。
装丁デザインの清水肇さんには、表紙に「往復書簡に出てくる言葉」を入れていただくようお願いしました。表紙に、手紙の大事なフレーズが載るのです。最高。そういえば私は「本」それ自体が好きなのでした。
◆書き手のプロフィール
五月あかり(さつき あかり)
都内のOL。いつの間にか生活が男性から女性になった人。性同一性は「無」。
周司あきら(しゅうじ あきら)
主夫、作家。生活が女性から男性になった人。性同一性はないが、性別を聞かれたら「男性」でいい。単著に『トランス男性による トランスジェンダー男性学』(大月書店)。
◆目次
第1章 身体がはじまる
第2章 身体は通過(パス)する
第3章 思春期はまだない
第4章 性同一性を持たない
第5章 あり得たかもしれない
第6章 好きは嫌いです
第7章 時間は絶たれる
第8章 復讐する
第9章 愛してる?
第10章 関係は変わる
第11章 場を分散させる
トランスジェンダーは人口の1%未満。トランス男性は0.2%いるかいないか。そんな感じで、ふだん経験を話す機会はありません。
幸いなことに(?)、書き手である私は日常生活ではすっかり男性側に埋もれて生きることができていて、だから余計にこうした言葉の上でしか「トランス」っぽくないのかもしれません。「トランスジェンダーでよかったことは?」と聞かれたとして、「ないよ」と即答してしまう。そうした状態だったわけです。
でも、五月あかりさんと出会って、ふたりで言葉を奪い返し創り出す試みはすごく楽しかった。なるほど、悪くないな、というか自分は幸せだな、と。
「トランスジェンダーの」本ではあるかもしれないけれど、性別に関わる人ということなら、全員が当事者です。セクシュアリティの話もたくさんしました。だから本書に無縁な人はいないはず。シスジェンダー/ヘテロセクシュアルの人たちも、呑気に埋没させておきません。
周司あきら
【追記】書誌情報出ました。
出版年月日 2023/4/15
単行本 ¥2,000+税 電子版あり
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