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もしもトランス男性が病院へ行ったら【各種診療科のFtM対応まとめ】

更新日:2021年12月29日


女性として出生し、男性として生きているトランス男性(FtM)は、病院でどのような対応をされるのでしょうか。私個人の体験をまとめます。思い出したり、新しい場所へ行ったりした際は追記予定です。


ちなみに以下のエピソードは、「外見や生活実態は男性で、しかし戸籍上は女性のまま。子宮と卵巣はある。ペニスはない」というシチュエーションです。保険証は表面に「詳細は裏面」という内容が記載され、裏面の備考欄に「戸籍上は女性」と書かれていました。改名しているので、名前では男性と判断されます。



  • 眼科

カルテの「男性」に丸された後、斜線で消され、「戸籍上は女性」とメモが書かれていました。コンタクトレンズの新調に男女差なんてあるのかしら。面倒なので早く戸籍も男性にそろった方が、病院対応も楽だと予想します。


  • 歯科

受付で3度見くらいされて、女性で登録されたような記憶。


  • 内科

ホルモン投与後の健康診断で血液の状況が心配だったので、血液検査に行きました。必要な情報かと思い、医師に「トランスジェンダーで、男性ホルモンを打っている」と説明しました(医療の話なので、「性同一性障害なので」と言ったかも)。 が、耳の遠い方だったらしく「え?何?」と聞き返され、大声で復唱されたので、待合室までアウティングされるのでは、とヒヤヒヤしました。年配の医師にその情報が伝わったのかどうか定かではありません。


  • 整骨院

受付の人に保険証を渡しました。すると「性別:裏面参照」とあったので、性別欄に「裏面参照」と書き写したらしかったです。後からやってきたリーダー格の人がそれを見て、「裏面参照じゃわからないよ」と指摘、私は一度しまった保険証を再び見せることになりました。



  • ワクチン接種

特に確認されなかったので、性別欄「男」で通しました。子宮がある人間の場合、ワクチン後に生理がくるという噂もありましたが、私はきませんでした。

  • 婦人科

思いっきり女性向けクリニックのような名称のところでも、トランスジェンダーの治療も行なっている場合があります。私は婦人科で男性ホルモンを打っていました。もちろん、男ホルがあるということは予想がつくように、女ホルの提供もありました。FtMもMtFも婦人科には世話になることがあります。戸籍の名前を変更する前から、すんなり通称名で対応していただいたのは助かりました。呼ばれるときは、名字で呼ばれました。


気になったのは、子宮頸がん検診のハガキが自宅に届いたとき。

婦人科に予約をして当日現場に行ったのですが、「FtMさん?受診しなくていいですよ」と、そのような対応をされたので結局受けずに帰りました。

これは「FtMは気持ちが男性なのだから子宮なんて見られたくないだろうし、別に膣性交もしていないから問題ないだろう」という“配慮”なのでしょうか?よくわかりませんでした。確かに「子宮の検診なんて屈辱的だ、黙って病気になった方がマシ」というマインドのFtMもいるのかもしれません。

けれども私は自分が受けた方がいいと思ったから行ったのに、結局用無しというのはなんだか納得がいかない結果でした。かといって、「1ヶ月以内にちゃんと膣性交してますので、検診受けさせてください」って主張するのもおかしいじゃないですか。

もし今後心配でこうした検診を受けようとしたら、無料検診では対応されなかったということなので、自費でわざわざ行かなければならないわけで、金も手間もかかるしもう放置でいいや、と思いました。私自身は臓器の各パーツでジェンダーの配慮をしていただくよりは、他の女性患者同様になんの波も立てずにしかるべき検査が受けられる方がありがたいです。


「女性」とカテゴライズされたらフルタイム男性として生活している私は反応できないけれど、「生理のある人」と言われたら私にも関係ある話題かもしれない、という気持ちにはなります。ただし、「生理のある人」ってそれ自体が名詞形で「女性」の代用となるわけではなく、形容詞とか修飾語に値するものなので、アイデンティティにはなり得ないです。単なる情報説明の手段ですよね。



  • 産婦人科

アフターピルが欲しいので、朝イチで電話をかけました。

「ご本人様をお願いします」

「本人です」

「......そうですか(困惑)」というやりとりがありました。


今からで対応可能なのは夕方です、ということだったのですが、その日は午後から用事があったので行くのはやめました。電話かけただけで何だか疲労感。男性ホルモン打っているので妊娠可能性は低いだろう、という確証なき理由をつけて考えないようにしました。

コンビニでコンドームと同程度の価格で手に入ったらどんなにいいだろう、と思います。ほとんど憤りですよ、これは。1万、2万とか平気でするでしょ。


女性ではなかろうが必要な場面は想定しうるので、賛同します。



  • 肛門科

これは面白かったです。

受付では、戸籍性別に応じて「女性」に丸されました。

けれども、待合室で呼ばれる時は普通に男性として接せられていました。


診察台に乗るときは、看護師のおばさんに「あら、可愛い。男の子はこの向きね」と言われました。そうなんです、肛門科でお尻を見せるときは男女で寝っ転がる向きが違うんですね(他の肛門科は知りませんが、そこではそうでした)!男性はうつ伏せのまま両足を上に抱える姿勢、女性は単純に横向きです。


まず、副病院長のお兄さんが登場しました。私が「男の子の向き」でスタンバイしていたので、それを見ると「横向き(=女性と同じ)で大丈夫ですよ」と訂正されました。カルテを見れば、戸籍に応じて「女性」に丸されているので、これは辻褄があうでしょう。 しかし、戸籍変更して「男性」に丸されているFtMの場合は、男性のはずなのに男性の向きで見たらあるべきものがない!と男性医師は驚愕だったかもしれません。姿勢の男女別というのは戸籍の問題ではなく、股の間に何かついているか否かだったのでしょう。


ついで病院長のおじいさんが登場し、横向きですんなり診察されて終わりました。


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