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『エトセトラVol.10』で男性学特集をやります。

更新日:2023年10月15日

こんにちは、周司あきらです。

2019年5月にVol.1が発売となったフェミニズム雑誌『エトセトラ』が、次号はVol.10を迎えます。2023年11月発売予定です。特集のテーマは、「男性学」。


フェミニズム系の雑誌や論文集で「男らしさ」や「男性学」がメイントピックになることは度々ありましたが、今回私の希望で「男性学」をやらせていただくことになりました。めちゃくちゃ楽しみです。


私はこれまで共著を合わせて3冊の本を出させていただいているのですが、全て「トランスジェンダー」とタイトルに掲げられています。『トランス男性による トランスジェンダー男性学』(大月書店)、『埋没した世界 トランスジェンダーふたりの往復書簡』(明石書店)、『トランスジェンダー入門』(集英社新書)の3冊です。高井ゆと里さんと執筆した『トランスジェンダー入門』は発売一ヶ月ほどで4刷まで決まっています。


いや、不思議です。

本気でトランスジェンダーのことを知りたいと思っている人はそんなに多くないと思う、きっと「“マイノリティを差別した自分”になるのは嫌だから、自分のために勉強しておこう」みたいなテンションで、実のところトランスジェンダーそのものには無関心な人が多いだろうとは知っている、いやそれにしても、トランスジェンダーのトピックも抑えておかなきゃっていう初動がけっこう早いみたいで。


しかしながら当然、ジェンダーや性差別のことを考えるなら、「男性」についても考える必要があります。というより、そこから逃げてはいけないと思う。これまでの『エトセトラ』の読者には、女性が多いと伺っています。今回は「男性学」特集なので普段より男性読者も増えるかもしれませんしそうなってほしいのですが、「男性」についてスルーしたまま性差別はなくならないでしょう。避けられないテーマだったよなぁ、と。


個人的な話をすれば、私は境遇上「トランスジェンダーの男性」に該当します。昔は女の子みたいに生きていたのだけど、人生の途中からすっかり男みたいに生きています。私は、ようやく辿り着いたこの「男」から逃げられないのです。案外「男」にしっくりきてしまっているし、もう他の性別に行き場があるわけでもないのです。だから「男をどうするか・男がどうあるか・男とは何なのか」といったテーマは、個人的にも向き合わざるを得ません。


ただいま(2023年8月中旬)、『エトセトラVol.10』準備中です。


―――特集編集って、何やるの?

さて、まず周司あきらが「特集編集」を担当するらしいけど、それはいったい何をするのか、とお思いの方もいるかもしれません。実際に聞かれたことがあります。説明します。


『エトセトラ』という雑誌は、株式会社エトセトラブックスが発行しています。本の編集・発行を担当している会社というだけでなく、東京都の新代田駅には、実店舗である「エトセトラブックス」があります。本屋にはフェミニズムに関連する新刊が揃っており、貴重な古本と出会うこともできます。時々イベントや読書会も開催しているようです。

※2023/8/26 『トランスジェンダー入門』(集英社新書)刊行記念イベントも、エトセトラブックスさんで開催します。



雑誌の方の『エトセトラ』は、その号ごとに大きなテーマを決めています。

特集部分を責任もって編集する人(いうなればゲスト的な立場の編集者?)がエトセトラブックスの編集者さんたちと共に、編集作業にも加わるかたちとなっています。例えばVol.9ではテーマは「No More女人禁制!」で、特集編集は伊藤春奈さんが担当されました。

最近の『エトセトラ』を見る限りでは、雑誌全体の4分の3くらいがその号の特集内容を扱っていて、残り4分の1くらいが(特集と直接の関係があるわけではない)連載などのページ、という構成です。とはいえ、一冊まるごとフェミニズムについて書かれている本だ、と言えるでしょう。


―――それで、編集って何やるの?

私自身もまだ本作りの途中なので、完成までにどう関わるのか確実なことは分かりません。

ただ、非常にざっくりした説明をすると、次のようなことをしています。


・特集のテーマを決める。今回は、「男性学」です!

・「男性学」という大テーマに基づいて、さらに細かいテーマを決める。

・上記テーマで書いてください、と10人〜15人くらいの執筆者に依頼する(エトセトラの編集者さんが連絡してくれています)。書き方は、論考やエッセイや漫画など色々ありますね。

・「はじめに」「おわりに」を書く。

・「編集長フェミ日記」という、1週間程度の日記を書く。

・他にも、読者アンケートや座談会などの内容を考えて、実施しています。

・既刊の『エトセトラ』を読み返したり、男性学に関わる取り組みを引き続き気にしていたりすると、あっという間に月日が経っています。


つまりは、原稿依頼に応じてくださった方々、読者アンケートに回答を寄せてくれる方、エトセトラブックスの編集者さん、表紙デザインを担当される方、そして製本し、全国に完成した『エトセトラ』を配本してくださる方々......の協力のもと、1冊が出来上がります。



※読者アンケートは2023年8月31日まで実施中です。未回答の方は、ぜひご参加ください。あなたの回答を誌面に掲載させていただくかもしれません。

(回答フォームの2つ目の画面では「まず、性別について聞きます」。

この性別の聞き方は、『埋没した世界』で私と手紙のやりとりをしていた五月あかりさんの質問形式に則って、質問させていただいています。もしかしたら、この時点でだいぶ回答に詰まる人もいますよね。

特に「⑥ いま社会的に扱われている性別は、どちらですか?扱われる機会が多いと思う方を選択してください」の回答候補が「男性/女性」の二択なのは困ったな!という人もいるかも。男女いずれかの性別で安定的に扱われているわけではない、日常生活で「男か女かわからない性別の人」「性別不詳」として常日ごろ扱われているという人がいたら、答えづらかったのではないかと。この社会は奇妙なことに、見ず知らずの他人でも男女いずれかの性別できっちり扱うことが前提になってしまっているので、おのずと回答も「男性/女性」の二択にならざるを得ないだろうという意味での二択になっているわけですが、この読者アンケートに回答してくださるほど普段から「性・性別」に関心がある人の中には、すでに(自身のアイデンティティーの話ではなく)他者からの扱われ方がノン・バイナリーになっている人もいた気はします。回答しづらくなってしまって申し訳ないです。)


以上、『エトセトラVol.10』で周司あきらが男性学特集を担当させていただきます、というお話でした。私は現時点での目次を眺めるだけで興奮しています。面白くなりますよー。



【追記】2023. 10. 15

エトセトラHPに書誌情報が出ました。



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