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トランス差別の「素朴な疑問」あるある3

更新日:2023年3月11日

残念、まだまだありました。トランス差別の「素朴な疑問」あるある第三弾です。


第二弾


Q、ゲイはトランス男性も受け入れるべきでしょ?トランス差別すべきではないのだから。

(※疑問を抱く人はおそらく、トランスジェンダー男性のゲイは想定しておらず、シスジェンダー男性のゲイだけを想定しているようです。)

A、そのトランス男性個人を好きになるかどうかなんて、勝手にしてください。

誰かが誰かを好きにならなければならない、なんてことはありません。『セックスする権利』というそのものズバリなタイトルの本にも書いてありますが、誰かが誰かと「セックスする権利」などない、のと同じです。


ただし、もう少し言わせてください。

欲望は政治的に、社会的に、形作られるものです。個人が「誰を好きになるか/誰とセックスするか」という欲望は、決して個人的なものだけだとは言えないかもしれません。単純に、「あなたが好きだと思うから」好きになっている、とは言えないはず。そのことは留意すべきです。

つまり、「トランスジェンダーなんて愛されるべきじゃない」というメッセージが世の中に溢れていると、「トランスジェンダーなんて恋愛対象外/セックス対象外」という認識に繋がっていくのです。(ここで「恋愛」と「セックス(性行為)」を並列しているのは書籍『セックスする権利』の意図を汲もうとしているからであって、私が「同列にみなすべきだ」と言いたいわけではありません。念のため。)


別の例を出しましょう。

「高身長の男性はカッコいい」というメッセージが溢れていると、世の「男性を好きになる」性的指向の人たちは、なんとなく低身長の男性を避けたり、軽んじたりするようになるかもしれません。「チビな男性ってダサい」とか言い出すかもしれません!

「脱毛している男性こそカッコいい」というメッセージが溢れていると、世の「男性を好きになる」性的指向の人たちは、なんとなく毛むくじゃらの男性を汚いな、清潔感がないな、恋人にはしたくない、と方向づけられていくかもしれません。

でも。その現象はひょっとしたら、「あなた自身の好み」ではなくて、「世間がそういうから」でセクシュアリティ(の中身)が変わってしまっているのかもしれませんよね?


ちなみに「男らしさ」の歴史は、ずいぶんと変遷を経てきました(「女らしさ」も同様です)。だから、ある文化圏(時代・地域)では、筋肉ムキムキな男性が好まれたり。ほかの文化圏では、スポーツするのに適したスマートで動きの速い男性が好まれたりします。ある文化圏(例えば古代ギリシア)では文化的教養のある男性が好まれ、その証拠に「ペニスが小さい方が品がある、賢そう」と見なされたり。ある文化圏(例えば平安貴族)では風流な遊びが得意な男性がモテて、男が泣いても「美徳」と思われていたかもしれません。基準は、バラバラなのです。(参考:『男らしさの歴史』全3巻)欲望は「自分の好み」だけでは形作られていないかもしれない。


だから、もう一度いいます。「トランスジェンダーなんて愛されるべきじゃない」というメッセージが世の中に溢れていると、「トランスジェンダーなんて恋愛対象外/セックス対象外」という認識に繋がっていくのです。そうした特定の属性に対する「差別的環境」をつくらないための努力なら、できると思います。


しかしこれを、シスのゲイ(や、バイセクシュアルの男性)にだけ言っているのではありません。全然ちがいます。ゲイにだけ、「トランス男性も愛する努力をしろ」とか言いません、決して。

むしろ疑問ですよ。そういう「素朴な疑問」をぶつけてくる人は、なぜ多数派のヘテロセクシュアル女性には言わないんだろう、って。先ほど私は、“世の「男性を好きになる」性的指向の人たち”と書きました。これは、ゲイの男性だけを指していません。わかりますよね?男性を好きになる人ということなら、ヘテロセクシュアルのシス女性(それよりは数の少ないトランス女性も含みます)にも同じ「素朴な疑問」を抱くはずです。


もし、ゲイ男性にだけ「あなたはトランス男性のことも好きになるでしょ!?」と脅しをかけるなら、それはゲイ男性を馬鹿にしてると思います。ホモフォビア(同性愛嫌悪)でしょう。セクシュアリティの面では、それよりずっと抑圧の少ないヘテロセクシュアルの(シス)女性には、同じ疑問を持たないのだとしたら。


せめて発言に筋を通してほしいものです。トランス女性に関しても、同様です。「トランス女性を、(シスの)レズビアンは好きになるべき?」なんて疑問は、シスレズビアンだけでなくヘテロセクシュアルの(シス)男性にも抱いてないと、筋が通ってないのではありませんか。

そのうえで、「誰かが誰かを好きにならなければならない」なんてこと、ありません。


そして私に言わせれば、「トランス男性はアリかナシか」という選別が自分自身に可能だろうと思っているようなセクシストは、ゲイだろうとヘテロ女性だろうと、こっちからお断りです。


Q、トランス男性は男子スポーツで活躍できてないですよね?結局のところ、身体が女性だから。

A、とりあえず、以下の記事をオススメします。


トランスジェンダーの選手について異なる議論をしよう【スポーツを「考える」vol.1】(井谷聡子さん)



私はまったくもってスポーツの専門家ではないので、「知らねえよ」って感じなんです。が、ささやかなことだけ…..。

トランス男性が男子スポーツに居づらいだけなく、トランス女性が女子スポーツに居づらい理由。そして男女二元論の強いありとあらゆる空間、とりわけスポーツにおいてノンバイナリーが見えにくい理由。

正直、トランスジェンダーを想定していない空間は、全然スポーツだけの話ではないので、そりゃあスポーツで居場所が見つけられないのは想像に難くありません。幼少期からスポーツの現場でも排除されています。


一応書いておくと、トランス男性で男子スポーツに移った/やっている人はいますよ、とだけ。


参考図書↓

トーマス・ページ・マクビー『トランスジェンダーの私がボクサーになるまで

他、いくつかニュースにもなってます。トランス男性と男子スポーツ。


そして前回までの記事を繰り返すようですが、「身体が女性」って何だろうな、と思います。正直よくわかりません。そもそも、よくわからない運用をされているのでしょう。


私話。

つい先日、ビーチで遊んできました。砂浜に鉄棒がありました。海パン姿の一人の男性がその鉄棒で懸垂をしだしたので、私はそっと見ていました。

それからその鉄棒が空いたので、私も懸垂をしました。その後、周囲にいた半裸の男性たちで代わるがわる懸垂をする、というシュールな光景になりました。なんだか無性に楽しかったです。私はけっこう上手く、というか一番きつめの懸垂をできていた気がします。ああ楽しかった。私も「身体が女性」なのかな?ははははは。どうでもいいですけど、身体の基準って、けっこう曖昧みたいです。


男性側で健康診断を受けていても、とくにトラブルは起きません。そんな感じです。日常的にジムに通う分にも、今は問題を感じることはないです。


ああ今日は2問しか書いてない。いいかげん終わりにしよう。朝飯前に書いたので、内容薄かったらごめんなさい。


以下、

参考になりそうなリンクを置いておきます。


●簡潔な一問一答が見たいなら→

はじめてのトランスジェンダー


●「女性」でなく「生理のある人」と呼ばないとトランス差別? 〜よくある疑問への回答〜


●LGBT理解増進法は女湯の運用とは関係がない


●反トランス差別ZINE


●『トランスジェンダー問題』


●『トランス男性による トランスジェンダー男性学』(私が書きました)


……


「お前は犯罪者だ」「お前は犯罪者と区別がつかない」「性器を切除せよ」「わきまえろ」「結婚してるなんてニセモノだ」「しかも同性愛者?」「お前がホンモノだという証拠を出せ」「存在するな」「死んでくれてせいせいする」「ズルい」

そうした言葉を、トランスジェンダー(の、とくに女性たち)に投げつけてきたこの世界を、許さない。

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