top of page

タイトル決定!『トランス男性による トランスジェンダー男性学』

更新日:2021年10月31日

2021年12月出版予定の本の、タイトルが決まりました。『トランス男性による トランスジェンダー男性学』というものです。



仮題はずっと『トランスジェンダー男性学』でした。

もう少し当事者性を出すために、『トランス男性による』と冒頭につけることになりました。これはやや小さめ表記がちょうど良いです。

ちなみに、同じFtM系トランスジェンダーである田中玲氏の『トランスジェンダー・フェミニズム』(インパクト出版会、2006年)は意識しています......


こうしてタイトル候補が一つに決まった時、「トランス男性による」の部分は英語なら複数形で“by transmen”になるだろうなーと思いました。私は一人の代弁者として書き起こすに至っただけです。


日本語圏ではあまり導入されていないような淋しさがありましたけれども、でももう、こうした多様性を呑み込んだトランジションの体現者は私一人だけじゃないとわかってるから。オリジナルの文章は実はあまりないのかもしれない。


もちろん厳密には、著者が周司あきら一人なのに、何人かのトランス男性によるアンソロジーであるかのように勝手に複数形にしたらそれは詐欺だよ、という話だとは思っています。なので、あくまでも気持ち的には。


英語ができないくせに、いくつも引用させていただきました。海外のトランス男性当事者の言葉には、日本で言語化のされていない、もどかしいグレーゾーンがうまく抽出されているように感じたのです。本当に救われました。 わりかし ノンバイナリーなFemale to Maleの境遇の人々も「トランス男性」という語り口を引き受けているように思えたので、なら私もそれでもいいか、と割り切るようになりました。あまり「男性」「トランス男性」というカテゴライズはされたくありませんが、そうやって与えられる記号を引き受けている同志がいるのだ、と。



そして、もう一つ個人的な理由。

私自身はシス男性さながらの男性間競争にことごとく興味がなく、「No.2でいいんです」どころか、No.3、いや序列なんて立ち位置次第でどこにも在りやしないじゃないか、という心持ちです。私一人で書くものに対して「トランス男性」による、と付与されることの重みから自由になりたかったのだとも思います。そもそもバイナリーなトランスではないしね(この遠慮はなんだ?)。



「Gender Identity(性同一性、性自認)」という用語は本の中では基本的に登場していません。これは「トランスジェンダー」の説明では頻出用語ではありますが、「男性」の説明において用いられることはまずありません。


①私自身に馴染みがない感覚だったため

②男性学の範疇では「私が男性であることとは?」と問う場面がなく、最初から男性ジェンダーの話に寄ることが多かったため

という二つの理由により、「Gender Identity(性同一性、性自認)」中心の説明は採用しなかったです。たぶんそれでも十分トランス男性を描写することはできます。

閲覧数:603回0件のコメント

最新記事

すべて表示

国際男性デー2023の振り返り

特定の一日にフォーカスするくらいで性別に基づく現実の課題がマシになるわけないだろう、というツッコミをぐっと飲み込んで、直近で注目される活動が何なのか知る日として、国際男性デーも捉えたいと思います。ぱっと見たかぎりでは、2022年より若干情報が多かった気がします。...

コメント


Post: Blog2_Post
bottom of page