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『トランスジェンダー問題』の好きなところを挙げる!

トランスジェンダー問題』(ショーン・フェイ/高井ゆと里訳、明石書店)の好きなところをただただ列挙するぜ!(ほんの少しだけ。)



2章 p.123

トランス男性のマイケル・ディロンが、トランス女性のカウウェルに片思いだったらしい!ディロン自ら、カウウェルの睾丸切除術を(無免許で)やった、ってよっぽどだ!

でも恋は実らなかった、らしいという人間くさいエピソード……(後世に残るのはヤダね)


なんというかもう、トランス男性側が熱烈っぽいのがリアルだね!現代でもあるある!

フェイさんの禁欲的な文章の中にも、ちょくちょく笑えるエピソードや、トランス個人の人間味あるエピソードがあるのがいいよね!



7章 p.353

反トランス的なフェミニズムはもちろんのこと、(フェイさんは書いてないけども)フェミニズム全体があんまり理解できてない部分ってあるよね!

つまり、トランス男性がどれだけ男性特権を得ているのか、女性との距離があくのかってこと!この部分についてもっと書いてあると、個人的には嬉しかったな!


なんか「主要な役職につくトランス男性が少ない」って指摘する人いるけどさ、幸か不幸かトランス男性的な人の方が、トランス女性的な人よりも、埋没しやすい(トランスだと知られずに望む性別で生活できる)ってのはおそらく言えてしまうからさ!残酷だけど、差があるのよマジで!

だから、気づいてないだけで、「主要な役職につくトランス男性」は多いかもしれないし、トランスならばカミングアウトして存在を教えてよって誰も強制できるわけないじゃん?

私も、基本的には「その辺の(シス)男性」のひとりになっちゃってるので、女性との距離感に気を遣ってる側なのよー!



7章 p.341

哲学者ロビン・デンブロフが述べた、家父長制の3つの鍵が超大事だから、ここにメモっとく!

1、男性と女性は自然で、変更不可能で、網羅的な二元論である

2、すべての男性は男性的であるべきで、すべての女性は女性的であるべき

3、男性性は女性性と両立せず、男性性の方が優れている


トランス女性やトランスフェミニンな人々は、この3つすべてに潜在的に異を唱えているから、この腐った家父長制社会で嫌われている(し、なんなら脅威だと思われている)という説明、腑に落ちてしまうのが憎いね!

性別ってけっこうあやふやで漠然としているって事実は、シスの人よりトランスの人の方がよく経験させられてるから、シスのフェミニズムはトランスの体験から学ぶといいよ!



2章 全体的に

英国のトランス医療が終わってるという話が続くけど、日本も似たり寄ったりだ!つら!

というより、性別を訂正するために手術要件が課せられていない点と、差別禁止法(英国の平等法)がある点と、基本的に性器の検査がなくて済む点で、なんだか英国の方が日本より恵まれているようにすら感じてしまった!


日本のトランス当事者の中には、戸籍の性別を変えるための「特例法」に、手術要件があるべきだって支持する人もいるけれど、どうか冷静になってね!

たかが自分の身分証を訂正するために、手術必須っておかしいからさ!

だってあなたの身分証でしょう?その視点が抜け落ちるほど、トランスの思考力が奪われるほど、日本という環境で、トランスたちは諦めるのが当たり前の状況に追いやられてしまったのかな!つら!

治療の保険適用や病院の拡大は、戸籍訂正とは別のところで進めていくべき課題だろ?


ゆと里さんが指摘している通り、優生思想との繋がりもあるだろうな!



かつて、日本でも優生保護法によって、主には遺伝性疾患を持つとされた人たちに対して不妊化措置が行なわれてきました。子どもを産んではいけない存在として、カテゴライズされてきたのです。トランスジェンダーに対する不妊要件も、明らかにその優生学の歴史に連なっています。


2章 p.155-159

若きトランス男性のヘンリーがとても賢くて、インタビューが頼りになる!

いや、5年も彼に治療をお預けしたせいで、たくさんのことを考えずにはいられなかったのだと思うけど!最低なことだ!


思春期に、まったく異なる性別にありがちな特徴がどんどん付与されていって、「同性」だったはずのシス男子とは遠く引き離されていく孤独。シスのお医者さまには想像できないのかな!トランスの自殺や自傷がたくさんあるの、わかるよね?


おばかな自称フェミニストへの応答も、ヘンリーはバッチリしてくれてるんだよ!

拒食症や醜形恐怖を抱えている10代の少女と話して、それから自分の経験を話すトランス男性と話してみれば、全然違うだろ?



6章 p.296

わりと多くのトランスたちが、ヘテロセクシュアル(異性愛者)ではないってさ!

トランスの人は、薄々知ってたよね?でもなぜか、ヘテロのトランスばかり表象されて、ゲイのトランス男性、レズビアンのトランス女性、バイセクシュアルのトランスや、アセクシュアルのトランス……は、ちっとも可視化されてなかった!


おまけに、性別移行それ自体が性的指向の変化をもたらすこともあるよ!

というかきっと、性別移行したら「性別」とか「あるべき身体」とかの規範がぶっ壊されていくから、性的指向が「ストレートではない」くらいで逐一驚かなくなる感覚、とてもわかるな!



3章 p.192

LGBTインクルーシブな企業の取り組みとか、リベラルなアジェンダは解放につながるって勘違いされてるけど、それが生み出しているのは需要可能性の線引きだ!

こういうことが『トランスジェンダー問題』のなかに書かれているのがとても大事だ!


つまり、「金になるかどうか」で、線引きされてるわけよ!お前は仕事の役に立ちそうだから支援してやる、お前はダメ、って。「同じ」トランスのなかでもそうなの!


スタバが性別適合手術の特別休暇OKにしたよーってニュース見てもさ、貧しくて低学歴で外見によって排除されるようなトランス当事者の役にはまったくたってないもんね!つら!

レインボープライドがどんどんマーケット化しても、お金がなかったり、「お兄さん」「お姉さん」というかけ声が恐怖であるトランスたちは、そんなところに行けずに、今日もオペ代のために働いているかもよ?


1章でいうように、結局家族に追い出され雇用がなく排除されてきた人たちがホームレス状態になっていくのよ。今やジェントリフィケーションの象徴ともいわれるスタバは、そんなトランスを助けてくれますか?排除するのではなく?



5章 p.259

トランス女性は、性犯罪をおかすよりもその被害者になる確率の方がずっと高い!

それを踏まえたうえでだけど、もちろんトランスのなかにも道義に反したことをする人はいるよ!ある属性まるごとお利口さんである、という偏見っておかしいから!


でもさ、「道義に反したことをした」からって、それが「その人はトランスではないのだ」と切り離す理由にはならないのよ!

だって、その二つはそもそも関係ねえじゃん!

たとえアライだろうと、「そんな悪いことをするトランスは実在しません」という形で、トランスを分断するのは理にかなってないぜ!



7章 p.339

読むのが辛くなる人もいるかもだけど……


生放送「ジェンダー激震」で、トランス女性2人が「スタジオ中に響き渡る声で繰り返し『ペニス』というワードを叫ぶ反トランス的なフェミニスト」に質問攻めにされて、そんな最悪な番組だったからさ、番組終了後にオフコムに200件も苦情が寄せられたんだって!


「ペニス」にこだわってるのはどっちだよ!

フェイさんの冷静な記述が、よりバカバカしさを強調して、「トランスヘイターのリアル」を伝えているね!

日本でもやたら「ペニス」にケチつける研究者がいるっぽいけど、英国だったら今頃オフコムに200件苦情がきてるところだ!



4章 p.210

セックスワーカーのシルビア・リベラのスピーチ、『トランスジェンダーとハリウッド(原題Discloser)』で観て、痺れた!ゆと里さんの訳も素晴らしい!


あなたは殴られたことがあるか?レイプされたことは?刑務所に入れられたことは?(略)あなたたちが私のために何かしてくれたことなんてあったか?いいや、何も。

映画『ストーンウォール』(2015)では、品の良い白人のゲイ男性がストーンウォールの反乱を起こしたかのように歴史が乗っ取られてしまったけれど、現実は違った。

そこにはトランスが、セックスワーカーがいた。


そして、そんなトランスのセックスワーカーの叫びが新しいものであるかのように感じてしまう、自身の平和ボケに反省した。

ずっと考えている。

『トランスジェンダー問題』を読んでなお、思考や行動が変わらないようじゃ、意味がないんだ。ずっと考えている。

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