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『COMPLEX』から考える、トランス男性のコンプレックス


トランス男性による『COMPLEX』というフォトエッセイがクラウドファンディングで実施、ついで、よはく舎から出版されました。



女性として生まれ、男性として生活しているトランスジェンダー男性「FTM」のコンプレックスに焦点を当てたフォトエッセイ。


トランス男性10名が登場するフォトエッセイというのは、コンセプトから見てもとても素敵です。良くも悪くも、知っている当事者が多かった、というのはあるんですけどね。登場されている方の多くは、新宿二丁目やYouTubeで既に顔出しされています。だから新しい発見があった、というわけではありませんでした。


トランス男性はアート系が似合うのでは?というのは、なんとなく同意です。今回トランス男性のコンプレックスとして、「生理を写真で」表現するってどうするんだろう、と気になっていましたが、上手いです。


フォトエッセイ内にあるQ&A、

私だったら何と回答するだろうか、考えてみました。



Q1, トランスジェンダーであることを自覚した時(性別違和を感じはじめた時)のエピソードを教えて。

A, 当時好きだった人に「そんなに女(でいること)が嫌なら、男になれば良いのに」と吐き捨てられた時。翌日、もはや男になってしまえ、と割り切れた。自分はトランスジェンダーではないはずだ、という自覚はあった。なのにね?

トランスジェンダーだなと自覚するようになるのは、男性ホルモンを打ち始めてからじゃないでしょうか。シスジェンダーとして想定されうる「男性」でも「女性」でもないという体感。身体はもちろん、それによって男女どちらにも分類されにくい状況が出来上がったため、日常の場面が逐一気にかかった。




Q2, 男性ホルモン投与、手術はしていますか?

A, 男性ホルモン投与125mgを2週間に一回。

胸オペは修正含めて3回しました。


他の手術は状況次第。(最初から全てが見えているわけではないので、「トランスセクシュアルとは手術を望む人で、トランスジェンダーとは手術までは望まない人」のような説明を好む人を見ると、私の現実はそんなふうに割り切れないや、とそっぽを向くしかありません。)

とはいえ陰茎形成は早い段階で自分の中でパタンと扉が閉ざされてしまったので、しない気がする。


Q3, 自分の性的指向を自覚した時のエピソードを教えて。

A, LGBTという単語を大学のフリーペーパーで見た時、B(バイセクシュアル)だと気付かされた。T(トランスジェンダー)だとは引っ掛からなかった。


Q4, 身体的なコンプレックスはどこですか?

A, パッと思いついたのは身長。山田涼介さんとそんなに変わらないのですけど…..


Q5, それがコンプレックスになった理由、きっかけは?

A, 身体を変える決意をしたのがドイツだったから。欧米人の中にいて、自分なんかがこんなミニサイズで男としてやっていくのは無理だろうと即座に思った。


Q6, コンプレックスを乗り越えるためにどんなことをしてきましたか?

A, 「身体的なコンプレックスはどこですか?」という問いなのでつい身長が浮かんだけれど、実際あまり気にしていない。特に日本人男性は160㎝そこらの人は珍しくないので。今日一緒に仕事した男性陣も、私と変わらないか、彼らの方が少し低いくらいだったかもしれません。


チクチク気にかかる回数が多いのは、ペニスの方でした。諦めも肝心なので折り合いはつきました。それに十分感覚は伴っているので、シス男性の極小サイズと大した差はないよな?と納得させています。


Q7, 現在はコンプレックスをどのように捉えていますか?

A, 身長に関して言えば、年上女性から可愛がられたり、女性全般から警戒されにくかったりするので、イケオジになるまでのモラトリアムとして愉快に捉えておこう、という軽さ。私は早くおじさん(これが理想形態)になりたいですけれど、急に「女子」から「おじさん」になってしまっていたら社会適合が困難なのは間違いないので、成長はゆっくりでいいんです。


Q8, 他にもコンプレックスがあれば教えてください。

A, 男子として思春期が送れなかったこと。この孤独は尾を引くでしょう。


言語化の遅さ。抽象的な物言いをしがちなこと。

それ自体がコンプレックスなわけではありませんが、それによって周囲へ違和感を伝えにくくなっています。たとえば治療をするために、GID(性同一性障害)の典型であるかのようなバイナリーな抑圧がかかったときに、「自分はこうではない」と表明できないのはストレスだったと思う。

ブログは自分のペースで好き勝手喋れるスペースでもあるので、それは非常に都合がいいです。



Q9, カミングアウトに関するエピソードは何かありますか?

A, 親も親友も、ちっとも驚かなかったことに驚きました。


あと嬉しかったリアクションとしては、「なんか声低くない?」「男性ホルモン打っているんです」と告げた後の、「えっっ禿げるよ!」ってやつ。この、なんてことない状況がありがたかった。


Q10, 今まで交際してきた中で、自分がFtMであることを相手はどのように受け止めてきましたか?また、交際している間、FtMだから気を使ったことは何ですか?

A, 私自身がFtM化してからは、好きになる相手はなぜだかトランスジェンダーの人に寄っていました。話しやすかったのでしょうね。むしろ、大勢の人がシスジェンダーとして生き、おそらく私たちをシスジェンダーのカップルとして認識する中で、当の二人だけがトランスだと知っている状況というものは、“ふたりだけの秘密”みたいで悪くないな、なんて。


相手がMtFさんである時は、二度と「男の身体でごめんなさい」という姿勢でいてほしくなかったので、私がきちんと男になれば、彼女を抱いても安心してもらえるはずだ、と使命感があったような気がします。筋トレする原動力でした。それに、身体的な特徴がどうであれ、彼女は綺麗な女性だった。


Q11, 今度、どんな人生を歩んでいきたいですか?

A, 結婚する、本を出版する

今パッと思い付かないようなことをしているといいな

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